ケモタイプ精油とは?
ケモタイプ精油に重要な役割を果たす学名について
植物は、国や地域により植物の呼び方が違うことがあります。そのような時は、世界共通の「学名」で植物を見分けることができます。学名は、精油を選ぶ上でも重要な役割を果たします。 学名とは、2つの単語で構成される「2命名法」で表されます。例えば、シソ科のラベンダー・アングスティフォリアは次のようになります。
Lavandula angustifolia
(ラバンデュラ属 アングスティフォリア種)
ケモタイプ種(化学種)が出来るまで・・・
学名を見た時に、科・属・種が同じであっても、植物が生育する土壌や気候、風土などの自然環境により、含有する成分が大きく異なることがあります。 なぜなら、植物は動物とは違い動くことができませんので、定位置で力強く生き延びていくことが必要になるからなのです。日照りが多く雨が少ない気候でも・・・栄養分の少ない土壌に生育をしてしまっても・・・虫が多く飛来して葉を食いあさることが起きても・・・どんな状況でも、植物は定位置で出来る限り、その過酷な環境の中で生き延びていく涙ぐましい努力をしています。
例えば、ゼラニウムは、虫が多く発生した時には、虫に食われる被害を抑えるため、シトロネラールを多く作り出します。なぜなら、シトロネラールには昆虫忌避作用があります。虫が嫌がる匂いを作り出し、シトロネラールが揮発することで、回りに生育している植物に虫の飛来を伝える役割も果たしているようです。 このように、同じ学名の植物でも自然環境の違うところに生育したものを、成分分析してみると、その自然環境に適合した成分が植物から検出されます。これらを、「ケモタイプ種(化学種)」と呼んでいます。
化学成分的に何を多く含有するかにより、期待する効果や香りが異なります。
具体的に、シソ科のタイムを見て見ましょう。
Thymus vulgaris CT1 (Linalool)
Thymus vulgaris CT6 (Thymol)
この2種類は、シソ科、タイム属、ブルガリス種は同じですが、自然環境や蒸留時期によりリナロールを多く含有した精油をCT1(ケモタイプ1)と言い、チモールを多く含有した精油をCT6(ケモタイプ6)と言います。
同じタイムですが、CT1はリナロールを70%前後含有するため香りの印象もかなりリナロールの甘みのあるフローラルな香りがします。一方、CT6はフェノール類(チモール)を30%前後含有するため香りは薬品臭の印象が強いのです。